AWARD  2018.1.17

金融デザイン私見!
「金融サービス”プチ”アワード2017」

 
2017年を総括する取り組みとして、「金融デザイン私見!金融サービス”プチ”アワード2017」を今年もやってみました。2017年のイケてる金融商品・サービスを私見で、面白おかしくピックアップしています!どうぞ、ご参考までに!今年も、よろしくお願いいたします。

石川英彦の2017アワード 「ビットコイン」

ビットコインをいまごろ?それもアワードに?はい、金融に興味のある人や情報通にとってはうるさいくらい耳にしている「ビットコイン」。ですが、世の中的には「はじめて耳にした」「なんか聞いたことあったけど興味がわいた」という人が多いはず。「暗号通貨が広く知れ渡り注目された」という意味でアワードです。 2017年の異常現象?は良し悪し関係なく大きな出来事だと思います。ビットコイン(その他の暗号通貨も)の行く末はまだまだ未知数ですが、この機会に注目して欲しいことがあります。それは、「ブロックチェーン」です。ブロックチェーンがあるからビットコインがあってビットコインがあるからブロックチェーンがあるという仕組みとアイデアに注目してください。簡単にいうと ブロックチェーンとビットコインを維持管理しているのは、どこかの国でもなく、どこかの会社でもない、「世界中のだれか」です。国や会社が維持管理をする「中央集権的」な仕組みではなく、 世界中にいる誰かが自分の意志で維持管理に参加する「分散的な仕組み」で維持されているところがブロックチェーン+ビットコインの大きな「発明」なのです。ブロックチェーンと暗号通貨がなぜ注目に値するのか、を知りたい人こちらおすすめの一冊。 参考 「著書:仮想通貨革命」

高田晶子の2017アワード 「ソニー銀行のSony Bank GATE」

Sony Bank GATEは、 ベンチャー企業などの新規事業に出資して、リターンを受け取る、投資型クラウドファンディング。今や、様々なクラウドファンディングがありますが、寄付ではなくリターンを期待した場合は、その実現性がどのくらいなのかなど、真偽のほどを見分けるのはなかなか難儀です。その一番難しいところを、ソニー銀行が目利きしてくれるというのがSony Bank GATEの魅力だと思います。第1号ファンドは外出先からでも家電の操作ができる、IoTデバイス事業で、目標リターンは年利約8%。一口あたり5万円という少額からできるのも嬉しい。さらにこのファンドは4口で事業化された製品を一つ貰えるからさらに嬉しい。そして、 「この企業のこの事業を応援したい」という本来の投資を経験できるというのが何よりもいいなと思った点です。1号ファンドは募集200口が即日完売で、私は出遅れてしまいました。そして、ちょっと残念なのが、第2号ファンドがまだ出てきていないこと。次なるワクワク投資のチャンスを期待して、Sony Bank GATEを高田の2017アワードに選びました。 参考 「ソニー銀行のSony Bank GATE」

高橋浩史の2017アワード 「Finbee」

2017年のアワードは、ネストエッグ社の自動貯金サービス「finbee(フィンビー)」を選びます。カードで買い物すると、あらかじめ設定した金額の端数(おつり)が専用口座に積み立てられる“おつり貯金”の草分けです。貯金は、手に入れたいもの、実現したいことのためにお金をプールすること。でも現実には、日常の支出に流されて“いつか”のためのお金は、なかなか貯められない人が多いと思います。finbeeなら、 日常の買い物がトリガーになって、自動で専用口座にお金が移動します。「貯金を意識せずに貯金できる」ことが、finbeeの最大の魅力でしょう。貯金ができない人に、楽に飛び越えられるハードルで、お金の貯め方を提案してくれたことに感謝です。ゲーム感覚の貯金ルールも、当初は「つみたて、おつり、歩数、空き枠」の4種類だったのが、いまでは「チェックイン」など増えて7種類。遊び心を持ってゴールを目指すのは、スマホアプリならではですね。 finbeeで貯金の成功体験を重ねれば、それがあたりまえのことになって、おつりに頼らない貯金の習慣ができるのでは。お金を貯めること、使うことの楽しさを教えてくれるサービスです。 参考 「Finbee」

高木恵美子の2017アワード 「SMBC信託銀行の美術品信託」

年の瀬に突如現れた「美術品信託」は、高価な絵画や骨董品を受託し、相続や保管、売却などをサポートするという信託商品。アワードに選出したのは、 美術品のみに特化した独自性とオタッキーさが、美術館好きの髙木のツボにはまったからです。不動産信託などと比べ、マーケット規模ははるかに小さいはず。それでも今後のアート界を盛り上げようと取り組むSMBC信託銀行の心意気を買いました。「もしかして、上層部に美術品マニアがたくさんいるのかも」そんな想像も楽しめた商品です(笑)。特に評価した点は、美術品オーナーの悩みに気づいた眼力。高価な美術品は資産でもあるため、「保管がやっかい」「相続や売却の仕方がわからない」など、オーナーの悩みは1つや2つではありません。しかし、美術品信託を利用すれば、数々のお困りごとはワンストップで解決。重宝されること間違いなしです。でも、よ~く考えたら、この商品の顧客層は資産家や企業。営業の匂いゼロの「美術品信託」をきっかけにお近づきとなり、バックにある莫大な資産まで預かってしまおうという陰の戦略にハタと気づく……。 もしかして本当に評価すべきは、この「上品なしたたかさ」かもしれません。フィンテックサービスの新設合戦に沸いた2017年。「古いもの」に向き合ったこの商品に、なぜかほっとさせられた髙木なのでした~(「きょうのわんこ」風に)。 参考 「SMBC信託銀行"美術品信託"プレスリリース」 

織田昌典の2017アワード 「FOLIO」

またまたやってきました!アワード。織田はやっぱりフィンテックで絞ってみたいと思います。2016年と比べると、サービスの種類や範囲が格段に広がったフィンテック業界2017。織田的には正直、ものすごく悩みました。それぞれの理念や才能がカタチになるサービスが多く、優劣の判断が難しかった。とにかく面白いものが多かったため、織田なりに「選ぶ基準」というのを定めました。あくまで独断と偏見ですが、「そのサービスにワクワクを感じられるか?」という基準です。こうして選んだ最終的なサービスは、「FOLIO」です。なにが素敵って、その理念です。 「ワクワクする投資、はじめよう!」というコピーライティングからはじまり、感性に響くデザインアプローチ、サービス作りへのクリエティブ性、WEBデザイン、カラー、ブランディング、そして何より金融業界の人たちというより、クリエイター集団と呼んだ方が相応しいパーソナリティの集まり。すべてに一貫性があり、あらゆる角度からみて織田的には最も「ワクワクさせるもの」を感じたサービスでした。取材に行けたらいいな〜と思ってしまったほど若干ファンになっています。というわけで、織田はこの「FOLIO」にアワードを捧げたいと思います。 参考 「FOLIO」

盛田司の2017アワード「SoFi」

2017年における私のアワードは、「SoFi」です。近年世界規模で取りざたされる奨学金の返済問題。日本でも二人に一人は奨学金を利用しており、2016年ではそのうちの32万人が様々な理由で返済が困難となり延滞を経験、自己破綻者は1万人を超えています。昨年から政府も給付型及び所得連動型の奨学金制度をスタートさせるなど対策は考えられているものの、その恩恵を受けることができる人は限られています。そんな中、海外では民間でこのような問題の解決に取り組む企業があります。それがSoFiです。SoFiは、学費ローンの借り換えを中心としたソーシャルレンディングサービス事業者です。SoFiのサービスは、 借り手である学生をビッグデータに基づき個別具体的に評価することで、国や銀行の奨学金制度よりも低い利率で貸し付けを行うことに成功しています。資金の出資者は、対象となる学生の卒業生を中心とした投資家達。自分たちの後輩であり、未来を担う学生を応援する、借り手にも貸し手にも嬉しいサービスです。利用者である学生の数はすでに35万人を超え、まさにpeer to peerな企業として、社会に大きく貢献しています。さらにSoFiでは、レンディングサービスに付随して 学生の就職等キャリアサポートに加え、利用者間のコミュニケーションの場を作ったり金融教育等も積極的に行っています。回収リスクの保全であることはもちろんですが、ただのビジネスではない並々ならぬ姿勢を感じます。日本でもソーシャルレンディグ事業者はここ数年で急増していますが、SoFiのような社会性の高い事業者を私は知りません。「Social Finance」を略した社名のSoFi。「ソーシャル」のあり方を改めて考えさせてくれる企業です。日本にもこうした企業ができたらいいなと願います。 参考 「SoFi」