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 金融商品  2017.06.23

フィデューシャリー・デューティーって何?

 
 金融庁が「金融をもっと普通に!」と言い始めています。平成28事務年度の金融行政方針(リンク)には、他業界では【普通】なキーワードがずらりとせいぞろい。その中に“フィデューシャリー・デューティー”があります。何?フェイシャル・ビューティー??

フィデューシャリー・デューティーってつまりどういうこと?

 「フィデューシャリー(fiduciary)」の日本語訳は【受託者・信用上の】という意味で「デューティー(duty)」は【義務・務め】です。つまり、受託者の義務、信用上の務め、と読めます。英米法上では「他者の信頼を得て行動する義務」「他者からの信頼を受け、その人の利益を念頭に置いて行動または助言する義務」とのこと。
 
 なんだか難しいそうですが「あなたのところに大切なお金のことをまかせてくれた顧客に対して真摯に向き合って顧客のためになるサービスを提供しなさいよ」ということです。金融庁用語では「顧客本位に業務運営」といわれています。

フィデューシャリー・デューティー7つの奇妙な掟

 「顧客本位の業務運営」には【金融事業者が顧客本位の業務運営におけるベスト・プラクティスを目指す上で有用と考えられる原則】ということで具体的に7つの原則が定められています。
 
1.顧客本位の業務運営に係る方針の策定・公表等
2.顧客の最善の利益の追求
3.利益相反の適切な管理
4.手数料等の明確化
5.重要な情報の分かりやすい提供
6.顧客にふさわしいサービスの提供
7.従業員等に対する適切な動機づけの枠組み
 
 読んで笑ってしまうのは私だけでしょうか。この7つの原則、読み替えると以下のようになります。
 

 
1.顧客本位の業務運営に係る方針の策定・公表等
 →顧客不在の業務運営はやめて顧客のことを考えましょう〜
2.顧客の最善の利益の追求
 →自分の利益ばかり追求するのはやめましょう〜
3.利益相反の適切な管理
 →利益相反を無視した営業はやめましょう〜
4.手数料等の明確化
 →手数料等をわかりにくくして煙に巻くのはやめましょう〜
5.重要な情報の分かりやすい提供
 →重要な情報を小さく書くのはやめましょう〜
6.顧客にふさわしいサービスの提供
 →顧客にふさわしくないと思っているなら売っちゃダメー
7.従業員等に対する適切な動機づけの枠組み
 →売ったやつがナンバーワン!はやめて顧客満足度で勝負しましょう〜
 
 といった感じに読み替えてみると、今さら何を定めているのかと思ってしまいますが、これが金融の世界の奇妙な実情です。

フィデユーシャリー・デューティーに期待すること

 金融サービスは顧客のお金(資産)に対して何らかのアクションを起こすもので、内容としてはお金を「貯める」「殖やす」「借りる」「まもる(保障)」といったところでしょうか。顧客の真の満足は自分のお金がローコストで少しでも有利に貯まったり、殖えたり、保障されたりすることになります。つまり、結果や商品スペックが顧客の満足を決めることになります。
 
 金融サービスにそれ以上の満足(付加価値)はあるのでしょうか?私は個人的に【ある】と思っています。その付加価値が顕著であるのが生命保険の外交の方や保険代理店の方が行っているサービスです。例えば、
 
・いつも側にいてくれて困ったときには相談にのってくれる
・いろいろな人を紹介してくれて仕事や暮らしで助かっている
 
 といった顧客の声をよく耳にします。また、ネット生保や銀行においても「コールセンターの対応に好感が持てる」「ウェブサイトがわかりやすい」といった声も。これらは金融サービスに直接的なものではありませんが、顧客が感じている付加価値です。金融以外の業界ではこういった付加価値はすでに競争が激化してやりすぎくらいになっていますね。
 
 フィデューシャリー・デューティーの7つの原則は当たり前でありながらも、愚直に行っていけば安心、便利、安全、わかりやすいといったような金融サービスのあらたな付加価値を生み出すきっかけになるのではと期待しています。

そもそもわかりにくいっていうことが問題

 一つ苦言をいうとすれば、そもそも金融サービスが複雑であることがわかりにくさの根源です(ちなみに7つの原則の中には【わかりやすい金融サービスをつくりなさい】といったような記述があります)。テレビを買うとき、車を買うとき、誰もがそのテクノロジーについて勉強する必要があるでしょうか?安全、安心、わかりやすく、美しく、かっこいいという理由で購入しているはず。金融が商品でありサービスである以上、少しの知識と自分の嗜好でサービスを選べるようになる必要があると思っています。
 
 そのきっかけとなるのがFinTechではないでしょうか?金融サービスをもっと普通にしてくれる時代がすぐそこに来ていると感じます。

ライター:石川英彦
HIDEHIKO ISHIKAWA

代表取締役
大学卒業後、就職することなく海外放浪へ。大好きなオートバイで北は「アラスカ・北極海」南は「アリゾナの砂漠」まで、北米を野宿しながら37,000キロ走破。帰国後、老舗ホテルでボーイの仕事し、サービス業とはなんたるかを学ぶ。あるきっかけで保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、 株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツを手がける。2011年には エフピーリサーチアンドコンテンツ株式会社を設立。全国各地のご当地FP®︎による多数の意見を発信。ただいま、「金融を普通にする」ための起爆剤を充填中。 >>プロフィール
 

 

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