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 FPデータSELECT100  2020.4.17

差額ベッド代について知っておこう

 

体調を崩して病院へ行ったとき、私たちが窓口で支払う金額は、概ね医療費の3割ですんでいます(厳密には年齢や所得によって異なります)。当たり前のように感じますが、これは日本が国民皆保険制度を採用しており、私たちが皆、何かしらの公的医療保険に加入できるからです。
ただし、公的医療保険の対象にならない治療や費用もあり、それらは全額自己負担です。今回取り上げる「差額ベッド代」もその一つ。大きな負担になるかもしれないので、どのような場合にどのくらいかかるのかをよく理解しておきましょう。

差額ベッド代って何?

差額ベッド代とは、患者が自ら希望して、個室などの「特別療養環境室」に入室する場合にかかる費用のことです。特別療養環境室は個室だけではなく、一般の病室より快適な入院環境を得られる以下4つの要件を満たしたものが該当します。
 

・病床数が4床以下
・面積が1人当たり6.4平方メートル以上
・病床ごとにプライバシーを確保する設備を備えている
・特別な療養環境として適切な設備がある

 

差額ベッド代は全額自己負担になります。ただし、病院が患者に差額ベッド代を請求できるのは、あくまでも患者が自ら希望し、料金等を明示した書面に同意した場合のみです。治療上の必要や、例えば大部屋が空いていないなど病院側の都合で特別療養環境室へ入室させた場合には、差額ベッド代を請求することはできないのです。
この知識があれば、差額ベッド代を支払う必要がある場合とない場合を自分で判断できます。

 

差額ベッド代ってどのくらいかかる?

 

上記はFPデータSELECT100でご紹介している「差額ベッド代の推移」です。1室当たりの人数が少なくなるほど金額は高くなり、1人室は2人室の2倍以上であることがわかります。これらは1日当たりの金額ですので、入院日数が長くなればなるほど、負担は大きくなります。
万が一、入院することになったら自分はどうしたいかを常日頃から考えておき、差額ベッド代が必要になる可能性があるなら、あらかじめ費用を準備しておきましょう。

   

入院すると1日にどのくらいかかる?

 

さらに、入院1日に必要な金額も把握しておきましょう。
公的医療保険に加入している場合、1ヶ月の医療費の自己負担額には上限が設けられます。これを「高額療養費制度」といいます。
70歳未満の場合、自己負担額の上限は、所得によって5つの区分に分かれますが、今回は真ん中の区分で試算してみます。結果、仮に1ヶ月の総医療費が100万円かかっても、私たちが負担するのは87,430円(※1)です。
1ヶ月87,430円ですので、1日当たりは約2,900円です。これに、全額自己負担となる差額ベッド代約6,200円(※2)と、食事代約1,400円(※3)を合算すると、約10,500円になります。
差額ベッド代がかかる部屋に入院する場合の1日の入院には、おおよそ1万円を見積もっておけばよいことがわかります。
 
差額ベッド代を新聞やニュースで見聞きすることはあまりありませんが、FPデータSELECT100ではこのようなデータも取り扱っています。統計資料を使って金額を把握し、備えておけば、急な出費に慌てることもないでしょう。

 

※1 全国健康保険協会(協会けんぽ)の場合 
区分ウ(標準報酬月額28万円~50万円)で試算
80,100+(1,000,000-267,000)×1=87,430
※2 平成29年の平均額は6,188
※3 平成304月以降は一食につき460
出典:全国健康保険協会 入院時食事療養費
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31702/1951-254/

 
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