インタビュー 2017.07.31
金融を普通にするパイオニアとなるか!?住信SBIネット銀行に見る身近なFinTech最前線【盛田編】
「これまでの金融と、これからの金融APIがもたらす金融大改革?」を前に思うこと。
APIとの出会いは、私欲を満たす最高のアプリとの出会い
APIとはそもそも何なのか。私がそのワードを知ったきっかけは、とあるアプリの存在を知ったことから始まります。それは、「現在地周辺のラーメン屋さんを、評価を含めてマップ上に表示してくれるという、ラーメン好きにはたまらないアプリでした。
当時の私は、「このアプリすげえ、全国のラーメン(海外でも機能していました)渡り歩いてアプリ作ったのかな。いや、そもそもマップ機能なんか作れるとかラーメン一つに凄まじいお金つぎ込んで、それをタダで公開しているとか・・・」と思っていました。そこで何だか気になって調べ始めたら、似たようなサービスが結構たくさんあるではないですか。「何?マップ作り流行っているの?」と困惑するばかりでした。
ラーメン愛好家向けマップ&評価アプリからAPIを紐解く
調べてみてわかったことは、私が発見したラーメンアプリ、実はほとんどの機能が、別会社の仕組みやデータベースを「再利用」しているということ。簡単に言ってしまうと、マップの機能は「Google」のもの、評価機能は「ぐるなびや食べログ(現在はAPI公開終了)」のようなところ」のものを利用しているんです。APIの仕組みをよくわかっていなかった私は、「ムムム・・・これって他社の機能をパクっているんじゃないの?こんなのあっていいの?」と混乱。そしてようやくAPIがなんたるかを知ることになりました。
つまりAPIとは企業が作ったサービスやシステムの一部でその企業が「この機能使っていいよ」と公開したものです。
なぜみんなAPIを公開するの?
ただ、そこで1つの疑問が浮かびます。「なぜみんな、膨大な予算をかけて作り上げたシステムを無償(有償のものもあります)で公開するのだろう」。それにはどうやら意味があるようです。
そもそもAPIとは機能を提供するものであって、システムそのものは公開されません。そのため盗まれたり悪用されたりすることはあえりません。考えられるメリットを簡潔に伝えると次のとおりです。
APIの公開による大きなメリットは、「みんながWin-Winになれる」ということです。なぜかというと、APIを公開した企業は、そのAPIを利用して新しいサービスを生み出した企業の新規マーケットを間接的に獲得することにつながり、当然APIを利用した企業も、コストや技術面から自社で作ることができないような機能を活用することで、より幅広いサービスの構築が実現できます。そして私たちは、APIによる新しい豊かで便利なサービスが生まれることでその恩恵を享受することができます。つまりAPIを公開するということは、公開する人も、利用して新しいサービスを提供する人も、そのサービスを利用する人も、みんな嬉しいことだといえるのではないでしょうか。
さて、ここからが本題です
このように、APIの公開が進むことはものとても良いことのように思えますが、その一方、全くの無縁のガラパゴス的なポジションにいる業界があります。それは、「金融業界」です。私たちの生活にものすごく密接しているはずのこの業界が、一番遅れをとっているといえます。もちろん、一般的なモノやサービスに比べ、個人のセンシティブな情報を取り扱うこともあり、このような時流とは懸け離れたところに位置してしまうことは当然のようにも思われます。ですが、金融の世界でAPIが公開され、多くの新しいサービスが生まれたとしたら、それは確実と言ってよいほど私たちの生活を豊かに、そして便利にしてくれるでしょう。そして今、密かにかつ大胆に、硬い扉をこじ開け果敢に新しい波を起こす金融機関がいます。それが、「住信SBIネット銀行」です。
お話を聞いてきました!
住信SBIネット銀行の今を語る上で欠かすことのできない人物が、FinTech事業企画部長の吉本さんです。一見さわやかで朗らかな雰囲気の吉本さん。しかしながら話し始めると雰囲気は一変、深い知識と熱意、そして毒舌満載のものすごく面白い方でした。毒舌である故、当然ながらここでお伝えできることは限られてしまうのですが、内容については当日カメラマンをしていた私より、他のメンバーの記事を参考にしていただいた方が良いと思います。私の記事では、吉本さんのお話を伺って感じたこと、そして実際にお聞きしたことを少しだけお伝えしたいと思います。
私の頭を離れないこと
私が一番気になっていること。それは、大きくうねる今という時代において、これまでの常識とこれから先の常識の変化の、少なからず想定し得る未来と私たちの生き方です。なんだか大きな話になってしまいますが、最近はこのテーマについてあれこれと考えるのが日課になりつつあります。
私たちの時代において、PCやインターネット、そして今や「ないと不安」になった携帯電話といった新しい技術や発明は、時に時代の流れを変えるほどのインパクトを持ちます。そこで、昨今起きている新しい変化の波を、これまでの波と比べてみたところ、なんとなく性質が変わって(違って)見えました。簡単に言えば、これまでは一度起きては静かに浸透するような「適応」できる波でしたが、これから先に来る波は、適応する余裕もないまま大小さまざまな波がずっと押し寄せてくる。そう思ったわけです。
ニュースを見ればものすごくリアルにコミュニケーションを取るAIや、まるで自分がその中にいるかのような感覚をあたえてくれるVR、インターネットの発達から新しい可能性を見出すIOT、そしてそれらから生まれた新しい概念IOM等、ローマ字のオンパレード。これからの時代を見据える時、きっとこれらのすべてが複雑に絡み合ったものになることだけは、誰でも容易に考えられると思います。もう、それを考えると頭が迷走してしまいます。
吉本さんにぶつけてみる
大志を持ってこの時代に波を起こす一人である吉本さんに、この気持ちをぶつけてみました。これから先、作っている人(波を起こす人)とそれを受け取る人(波に乗る人)との溝が開いていくかもしれないその両端に、確かなハシゴはあるのだろうかと。そしたら吉本さん、あっさりこう言いました。「人が人であることは変わらないし、人ができることと人がしなくてもいいことがもっとクリアになるんじゃないかな」。はい、あっさりスッキリしてしまいました(笑)。なんだかわくわくしたんです。波を起こす側の吉本さんの言葉には、使命感にも似た潔さがあります。「新しいもの、便利なものをとにかくどんどん生み出さないといけない時代」と勝手に思っていましたが、吉本さんは「クリアにしていく時代」を目指されているのだなと感じました。すべてがそうだとは言えないかもしれませんが、吉本さんのような方と、そして住信SBIネット銀行が見据えるのは、「波が立たない(立てなくてもいい)時代」なのかもしれないと、そんな印象を受けました。
最後に
さて、冒頭でAPI最高!API万歳!と叫びながら「でもなんか心配」と駄々をこねていた私ですが、今回の吉本さんのお話をお聞きして、綺麗さっぱりスッキリしました。そして吉本さんが大好きになりました(笑)。住信SBIネット銀行の今後の活躍がものすごく楽しみに思うと同時に、偉そうな言葉になってしまいますが、応援していきたいと素直に思いました。
銀行法の改正から、これから金融業界はどのように変容をしていくのでしょうか。「クリアにしていく時代に向かっていく」のだとしたら、きっとこんな風に変わっていくのだろうな」と、一人妄想が止まらない私でした。
TSUKASA MORITA
ディレクター・デザイナー
元アーティスト、モデル。とある事故がきっかけで継続が困難になり、追い討ちをかけるように金銭トラブルに巻き込まれる。そんな苦い経験の中で出会ったのがファイナンシャルプランナー資格。自らの力で経済力を身につけるため、2006年FP資格を取得、実務経験を経て2011年「盛田FP事務所」を設立。プレゼン資料を評価され、次第にFP、金融機関のセミナー、プレゼン資料を手がけるように。その後、織田とともにデザインオフィス「 SHOWCASE」を立ち上げ、デザインのほか、デザインコンサルティング、動画制作、プレゼン資料等の制作を展開。現在ではアーティストの活動もひっそり始め、ステンドグラス、アート、デザインを展開するアートスタジオ「ONE」を立ち上げている。 >>プロフィール