インタビュー 2017.08.28
金融を普通にするパイオニアとなるか!?住信SBIネット銀行に見る身近なFinTech最前線【田中編】
誰もが、自分に合った銀行サービスを手軽に利用できる時代へ
金融(Finance)と技術(Technology)を組合せた造語、フィンテック(FinTech)。
新聞や雑誌でもすっかりおなじみです。でも、実際のところ、フィンテックで何ができるようになるのでしょうか?そして、私たちの生活はどう変わっていくのでしょうか?
ラッキーなことに、先日、いち早くフィンテックに取り組んでいる住信SBIネット銀行さんからお話をうかがう機会がありました。日本の最前線で活躍されている、FinTech事業企画部長、吉本憲文さんのお話です!「テック ( Technology )」というだけあって、耳慣れないシステムのお話もたくさん出てきました。・・・が、ここでは、フィンテックと私たちの日常生活の関わりに焦点をあてて、お話をまとめてみたいと思います。
キーワードはAPI
「API」は「エーピーアイ」と読みます。その昔、「APEC」を「アペック」と読んでいた私は、「API」も「アピ」と読んでしまいそう…。でも、読み方なんてどうでもいいんです。大事なのは、APIで何ができるのか、ということ。
APIは「Application Programming Interface」の略です。その意味するところは、APIで異なるシステム同士をつなぐと、一方が他方のシステムの機能やデータを利用できるようになる、ということです。つまり、銀行システムをAPI接続することで、銀行以外の企業も銀行データを活用でき、新しいサービスを生み出すことができるのです。
すでに実現している個人向けサービス
住信SBIネット銀行はいち早くAPI接続を行っています。その結果、以下の便利な個人向けサービスが実現しました。(サービス利用にあたっては、住信SBI銀行に口座があることが前提となります。)
1.MoneyForward for 住信SBIネット銀行
2.WealthNavi for 住信SBIネット銀行
3.finbee
今後日本でフィンテックが普及するためには
先に挙げた3つの個人向けサービスのうち、1と2は、すでにある情報を照会できるようにしたもの。対して3は、情報を更新できるようにしたもの。前者を照会系API、後者を更新系APIと呼びます。
3の「finbee」では、貯金をするにあたっての目的や貯金額は、利用者が自由に設定できます。つまり、利用者の嗜好が反映されます。今までの銀行貯金というと、一般的なのはお給料からの自動積立でした。しかも、その手続きは窓口で行わなければなりません。貯金という行為には面倒臭さが伴い、面白い・楽しいという要素はありませんでした。
ですが、「finbee」のようなサービスであれば、「このためだったら」「こんなタイミングだったら」自分は貯金できそうだな~というその人独自のワクワク感=モチベーションを盛り込むことができるのです。このワクワク感が人を行動へ駆り立てます。しかも、始めたいと思ったときは、スマホさえあれば、その場で手続きを完結できます。
吉本さんのお話では、現状、ネット専業銀行以外の銀行では、インターネットバンキングの契約率は3割以下とのことでした。まだまだ「ネット上でお金を動かす」という感覚が一般的だとは言えません。ですが、今後、「finbee」のような、個人の嗜好をくみとった更新系APIが増えていくと、サービスを利用したい!と思う人がぐっと増え、フィンテックのすそ野は広がっていくと思います。
自分の心地よさを追求できる時代へ
今回のお話のしめくくりに、吉本さんは、 「イノベーション(革新)は組み合わせによって起きる」とおっしゃっていました。すでに積極的にAPI接続を行っている住信SBIネット銀行に、他行がどこまで追随していくのかを見極めながら、どんな新しい組み合わせが生まれているのか、それを使うことで利用者の生活がどう変化するのか、を伝えていくこと、そして、利用者にとって必要なサービスを考えていくことも、私たちFPのこれからの役割なのだと感じています。