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 マネーコンテンツ  2016.11.29

コンテンツSEOがもたらすジレンマ

良質な記事ってなんだ?

 これまで数多くのウェブサイトに一般向けの金融・マネーの記事コンテンツを提供してきましたが、最近のウェブ上の記事に見られる傾向を少々愚痴まじりに紹介します。
 
ご存知のとおり、今現在は“Google先生”の言うことを聞かなければ記事は検索されない世の中です。つまりGoogle先生にあわせて最適化することが記事を見つけてもらってターゲットにアプローチできる必須条件です。いわゆるSEO対策です。
 
 現在のGoogle先生は「良質な記事を見やすく読みやすくし、検索して訪れた人の期待に答えなさい」と言っています。以前のような、検索エンジンの隙間や盲点を狙ったスパムのようなサイトや内容が極端に薄いサイトはGoogle先生の努力によって排除されてきました。よって良質なコンテンツが上位表示されるようになってきたのです。
 
 これは大変よいことだと思うのですが、その良質な記事というのはどのような定義であるのか・・・。今のところGoogle先生も人間と同じように記事の質を認識できるわけではないので限界はありますが、Google先生が目指す良質な記事の定義はあるようです。私が考える金融・マネーコンテンツにおける良質な記事の定義は、読みやすくわかりやすいのはもちろんのこと、
 
 
1.ターゲットにとってより個別具体性があり、役に立ち、行動できる記事
2.温度感、リアリティがある記事
3.情報、知識系のコンテンツであれば、正確で体系立てて整理されている記事
 
 
です。
 
 1や2の場合、実務経験のある人が中心に記事をおこさなければ実現できません。また、読みやすくしたりするには、アウトプットのプロであるエディタの協力も必要です(場合によっては取材形式にして記事自体はライターが起こす)。

 3の場合、特定の分野に強いライターだけで実現できる内容もあれば、ライターの記事を専門家が監修する、あるいは専門家が情報を整理して、ライターもしくはエディタがアウトプットを整える、といった方法で良質な記事を制作できます。

 われわれの場合、個人向けの金融・マネー記事が主体ですので、実務経験豊富なファイナンシャルプランナー(FP)、マネーライターが記事制作の主役になり、エディタや専門家も加えたチームで記事コンテンツ制作を行っています。
 

良質な記事を制作するために絶対欠かせないこと 
その1「書く人の資質」

 良質な記事を制作するには“書く人の資質”が重要です。情報系の記事であれば視野が広くまとめ上手なマネーライターが適任です。実務経験が必要な記事の場合はファイナンシャルプランナーや金融実務経験者が適任です。主旨や目的に合った良質な記事を制作するには、書く人の資質がかなり重要なポイントになります。特に、実務経験が必要な記事をおこす上で重要な資質は、
 
 
1.現場で得たことを自分の引き出しに入れて、体系的に整理している人
2.そしてそれを常に次の現場で意図的にアウトプットして活かしている人
3.アウトプットの際に、必要に応じてその内容を取捨選択できる人
4.アウトプットに正確性があること
5.アウトプットに柔軟性があること(正確性と分かりやすのバランスが取れるなど)
 
 
です。

 ところが上記の資質をすべて持っている専門家は、どの分野でも希少です。とはいえ、少なくても3、4は必須でしょう。その資質をもった書き手の見極めができるかどうかが金融・マネー記事制作にはなくてはならないノウハウです。
 

良質な記事を制作するために絶対欠かせないこと
その2「プロのチェック」

 ファイナンシャルプランナーの仕事をしている人、ファイナンシャルプランナーの資格を持っている人に頼めば、良質な金融・マネーの記事ができる、というのは残念ながら正しくありません。前出のように“書く人の資質”がかなり重要なポイントだからです。さらに、書き手だけでなく“誰がチェックするか”も重要です。

 一般的には編集プロダクション、あるいは制作会社の編集担当がその役割となるわけですが、ある程度金融の知見や経験がなければ内容面のチェックは厳しいでしょう。
 ある一定の資質のある人が原稿をおこし、それを金融の知見や経験があるプロがチェックする。そのコンビネーションこそが良質な記事をアウトプットできる必須条件です。
 

コンテンツSEOがもたらすジレンマ 

 良質なコンテンツをGoogle先生が上位表示してくれるのは大変ありがたいことですが、コンテンツ量が多く、読みやすく、検索上位に表示される記事の中には、われわれプロの視点から見て良質とはいえないものもあるのが実情です。例えば間違っているとか。実務の現場からはかけ離れた内容であるとか、“ひとこと”がないために正確性に欠けるとか。さすがのGoogle先生も残念ながらそこまで見抜くことはできません。SEO対策のためにそこそこの分量の記事を大量に投入しているため“質”が落ちていると考えられます。しかし量がなければアクセスしてもらえない。コンテンツSEOがもたらすジレンマなのでしょうか。

 
ライター:石川英彦
HIDEHIKO ISHIKAWA

代表取締役
大学卒業後、就職することなく海外放浪へ。大好きなオートバイで北は「アラスカ・北極海」南は「アリゾナの砂漠」まで、北米を野宿しながら37,000キロ走破。帰国後、老舗ホテルでボーイの仕事し、サービス業とはなんたるかを学ぶ。あるきっかけで保険代理店の手伝いをしたことで金融の世界を知る。その“奇妙”な世界に疑問を感じ「お金に関する情報形成」「売り手と買い手がハッピーになる金融コンテンツづくり」をミッションとした、 株式会社マネーライフナビを設立(1996年)。FP(ファイナンシャルプランナー)の実務をこなしながら多数の金融コンテンツを手がける。2011年には エフピーリサーチアンドコンテンツ株式会社を設立。全国各地のご当地FP®︎による多数の意見を発信。ただいま、「金融を普通にする」ための起爆剤を充填中。 >>プロフィール
 

 

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